戦闘開始!








「もうお前飽きたから」

淡々とした口調でシリウスは目の前の今の今まで”彼女だった”少女に告げる
その少女はその事を予知していたのか小さい肩がぴくりと揺れた
それを見たシリウスは口の端を上げる様にして笑う

「だってお前つまんねーんだもん」

ニホンという国から来た、という珍しい肩書きに興味が湧き付き合ってみた
最初は自分が付き合ったことのないタイプの人間だったので
楽しんでいたシリウスだったが何をしてもにこにこと笑っているだけの少女に
だんだんと飽きてきて今日に至った
まぁ最初から分かれること前提のオアソビだったんだけど
そう言って少女を見れば俯いているので表情こそわからなかったが
小さな肩が小刻みに震えているのが見えた
きっと泣いているのだろう

「……酷い」

ぽつりと掠れた声が少女から漏れる
その言葉を聞きシリウスは綺麗な顔を歪めた
別に罪悪感を感じているわけではなく
この後で続くであろう罵倒の言葉を予測したからだった
めんどくせー
シリウスがぽつりと呟いた瞬間ばっ、と少女の顔が上げられる

「はい、おーわりっと」

いきなり顔を上げたことに驚き身構えてたシリウスに
少女は可愛らしい笑顔でそう言った
泣いていたと思っていた少女の顔には涙の欠片も見当たらなく
どこからかノートを取り出し何かを書き込んでいた
突然の事で固っていたがはっと我に返りおい、とシリウスは少女に呼びかけると
黙々と書き込んでいた少女は小さく顔を上げ忘れてたとでも言うように小さくあ、と呟いた

「ごめーん」
「…どういうことだ」

普通の女の子なら泣くであろう怒気を含んだその声に
少女は一瞬きょとんとしたかと思うと大声でけたけたと笑った

「どういうことって……劇?」
「げ、き…?」
「うん、そー。今回は女遊びが激しい色男に振られる清楚な少女ってとこ?」
「な……!」

シリウスの驚いた声に少女はにたりと笑う
その少女の顔はシリウスの記憶の中の彼女とはまったく結びつかなく
軽い頭痛と眩暈を覚えた

「やー、でも君には悪い事しちゃったな」
「…なにが」
「だって好きだったんでしょう?”清楚な”が」
「…は?」
「浮気するのも今日こうやって別れを切り出したのも”清楚な”の本当の気持ちを知りたかったから。違う?」
「……っ!」

少女の言葉を聞いた瞬間シリウスの顔に熱が篭る
そうなのだ
最初は遊びだったはずの彼女にいつしか本気になり
彼女が本当に自分のことが好きなのか確かめたくてこんなことをしたのだ

「愛情表現がちょー幼稚で馬鹿なシリウス・ブラック」
「てめ…っ!」
「これで閉幕だから帰っていい?もう君に用はないし」

今日は特別舞台裏も見せたしね
そう言ってひらひらと手を振って踵を返そうとする手を掴む
振り返った少女は容赦なく掴んだ手が痛かったのだろう
小さく顔を歪めなに、と不機嫌を隠す様子もなく言葉を投げた

「”清楚な”じゃなくて”役者の”に何か用かしら?」
「あぁ」

くすくすと癪に障る様に笑っていたが
シリウスの返答を聞くなり驚いたような視線を向ける

「俺はその舞台からお前を引き摺り下ろす」

んで今度はお前を俺に惚れさせてやるからな
そう言って掴んでいた手を引き寄せ少女の唇にキスを落とす
それが開戦の合図だった

「…覚悟しろよ」
「やれるもんならやってみろ!」
「あとで後悔するなよ」


OK, it is a battle start!













自分の愛が歪んでいるのを再確認
07/03/21







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